columnコラム

求人応募後、あなたの経歴書はどこに行くか?応募書類作成で大切なこと

求人応募後、あなたの経歴書はどこに行くか?応募書類作成で大切なこと

何らかの挑戦心を持って、あなたは新しい機会を求めて求人へ応募書類を出す。

はたしてその応募書類はどのような人々の手に渡り合否が決まるのだろうか。

 

いくつかのケースを紹介した上で、応募書類の作成上どんなことに気を付ければ良いかを提案したい。

この記事は、候補者側にとってより有益であるが見方次第では採用企業側のバイアスやフロー改善のアイディアにもなりえるだろう。

 

1)応募書類に記載している部署名でバイアスがかかり、どんな経験をもっているのかきちんと読み解いてもらえなかったケース

2)応募していないはずのポジションでの面接依頼が、応募書類提出の3か月後に届くケース

 

 

1)応募書類に記載している部署名でバイアスがかかり、どんな経験をもっているのかきちんと読み解いてもらえなかったケース

 

これは私がヘッドハンターとして支援させていただいた候補者が実際にあったケースだ。

(個人情報保護の兼ね合いから設定は少々変えている。)

求人応募後、あなたの経歴書はどこに行くか?応募書類作成で大切なこと

 

上記を見ると、採用企業は「営業部」という所属部署名を見て即座にお見送り判断をしている。

 

しかし、この候補者は営業部に所属していたものの、実際に応募企業が求めているような社内でのプロジェクトを多数経験している為、まさに活躍を期待できる人材のはずだった。

ヘッドハンターとして介在していた私としては納得できず、もう一度クライアントである採用企業へプッシュバックすることになる。

 

以下のような改善を加え再提出したところ、結果として採用に至った。

求人応募後、あなたの経歴書はどこに行くか?応募書類作成で大切なこと

 

なぜ、書類選考1回目でお見送りになったケースを覆すことができたか。

ポイントは読み手のレベルに合わせた上で売りたい経験をしっかりと文字化することだ。

 

特に、改善プロジェクトなどといった類のものは、企業によってその部署の者が指揮するのかあるいは別に専門の部署がいるのか異なる。

営業部にいたのなら売るための活動しかしていないのだろうと思われるのも、読み手がそういった背景を知らなければ当然である。

そのため、「この会社では営業部内のメンバーが改善プロジェクト指揮してたんですよ」としっかりコメントを添えた上で再度書類を提出したのだ。

 

※エージェントを経由していない応募の場合はこのような結果を覆す動きは難しいため、応募する時点でかなりの注意が必要だ。

 

 

2)応募していないはずのポジションでの面接依頼が、応募書類提出の3か月後に届くケース

 

これも実際にあった話で、エージェントを通じずに候補者自身が大企業の採用サイトから直接応募した際に起こったケースだ。

 

彼はとあるエネルギー系企業にトレーダーとして応募したが、しばらく企業からは音信不通だった。その後、3ヵ月経って応募したトレーダーではなくオペレーション部門での面接依頼の電話が届いたのだ。

 

いったい何が起こったのか。

その応募企業では、応募時に「将来この企業内で出た他のポジションで機会があれば選考を希望するか」を事前に確認する項目があったということだった。

 

つまるところ、その当時の候補者は応募したトレーダーについては何らかの理由でお見送りになったものの、その後しばらくして別のポジションでは経験を活かせそうだと応募企業側が判断したのだ。

 

このように、いくつかの企業は応募者の情報を事前に了承を取った上でデータベース化している。そのデータの保管期間も各々だが、数か月から1年以内に別のポジションで検討されることがあるようだ。

これはタレントプールと言われる手法で、日本でも広がりが見られる動きの一つである。

 

このケースの候補者は結局、面接に進み入社を決めた。

 

応募時の他のポジションでの選考も希望するかというポイントについては、何気ないチェック項目だったものの意外な朗報だった。

 

後から聞くと、採用が決まったオペレーション部門のHiring Manager(採用先部署の採用権限を持つ人)は、この候補者が最初に応募してきたトレーダーのポジションでもHiring Managarをしていたという。候補者の応募書類を見てトレーダーとしては少々ジュニアすぎるという判断をしたものの、記憶には残っていたという。そのため、その後オペレーションのポジションがでてきた時に真っ先にこの候補者を思い出し、連絡したのだという。

 

3か月かけてこの候補者の応募書類は旅を続け、最終的には採用にいたったのだ。

 

これらのケースについてそれぞれ興味深く読んでいただけたら幸いだ。

 

 

まとめると、候補者にとっては以下がポイントとなる。

 

1)では、事前にどんな読み手にもわかりやすい書類を作ることを心がける良いきっかけになるだろう。

2)についても、可能性を広げたいというかたには企業への応募時にはデータベースとして保管されることを了承し、項目にチェックをつけるものおすすめしたい。

 

そして、裏を返せば企業担当者には以下がポイントとなる。

 

候補者が所属している部門や部署名、職種だけで判断せずに、その組織内でどのような役割を担っているのかを慎重に確認し、判断してほしい。

自社に興味を持ってくれた候補者を、タレントプールという形でデータ化し、長期的に付き合っていくことも重要である。

 

人生色々というが、仕事探しはいつでも真剣であり予想もしないことが起きる。今回は良い話がメインであったが、どんなことがあっても楽しめる心構えをもって転職活動に挑んでいただければと願っている。